★久米島で血統の違う牛を出荷-子牛の値段下落に拍車か?-

ゆかり号

2020年03月13日 05:18

★久米島で血統の違う牛を出荷-子牛の値段下落に拍車か?-

悪いニュースが続いています!!

新聞報道によると、久米島で出荷された子牛の一部が登録された血統と異なる血統であることが判明したとのこと。

アメリカとの貿易交渉の結果アメリカの牛肉の関税が今年の1月1日からこれまでの38.5%から26.6%に引き下げられた影響で和牛の需要が停滞していたのに加えて、

新型肺炎の影響で更に需要が減退する中、

子牛の取引価格が60万円を切る状況でのこのニュースは、余りにもバッドニュースです( ;∀;)!!

どういうことかというと、肉質が良いと評判の但馬系「安福久(やすふくひさ)」の子として血統登録されセリに出されて売られた牛が、実は別の牛の子だったというのです。



安福久


問題は、昨年の10月に沖縄市の農家から、11月には伊江島の農家から「血統矛盾」の指摘があり、いずれも久米島町内の同じ人工授精師が手掛けた繁殖牛だったとのこと。

何故農家が「血統矛盾」に気づいたのかは不明ですが、JAおきなわ久米島支店久米島和牛改良組合が1月に安福久を父に持つ69頭を対象にDNA鑑定を実施し、そのうち5頭(前出の2頭を加えると合計7頭)にDNAの不一致があったというのです。

その対象牛の殆どが、例の人口種付師が種付けしたうしだということで、3月11日までに2頭の牛で血統が違うことが判明し、他の人口種付師が手掛けた3頭にもDNAの不一致が見つかったとのこと。

故意に違う血統の牛の精子を安福久の精子として種付けしたのか、或いは何かの手違いが発生しているのか、疑惑が疑惑を呼んでいきそうな話題です。

血統を故意に違えて種付けする実益は、高い牛の精子安い牛の精子と替えて人工授精して差額を儲けようとする意図も考えられますが、牛の精子の値段3千円から5千円で、高くても1万円くらいですから、不正をして一儲けを企むには余りに利益が少なく、リスクの大きなことだと思います。

実際の安福久の精子の値段がどれくらいだったかは記事には載っていませんが、血統が違うことを知りながらセリで売っていたとしたら、詐欺に当たる可能性がありますし、知らずに販売していても瑕疵担保責任の問題にもなりそうです。

何よりも久米島産の子牛のブランドに傷がつきますから、生産農家の信用問題に発展しそうです。

沖縄産の子牛は、久米島に限らずその殆どが県外のバイヤーによって県外の肥育農家に引き取られていき、松阪牛などのブランド牛として市場に出ていきます。

これは、様々な問題に発展しそうな事件です。

因みに、安福久は、但馬系安福165-9(父安福)が父で、母の父が同じ但馬系の紋次郎事件で有名な紋次郎(父安美土井)という血統で、平成13年栃木生まれで、種牛としては鹿児島県共用され、平成28年に死亡しています。

但馬系らしい肉質の良さと、死亡していて残りの精子が少なくなっているということもあり市場では「希少血統」と言われているようです。

私個人の推測ですが、特に久米島の繁殖牛は、血統改良で体が大きくなる(肉の歩留まりが良い)気高系平茂勝の血を引く牛が多く、但馬系の肉質向上が見込める安福久との相性の良さ人気の秘密だと思われます。

どのような続報になるのか、

その後の展開が非常に気になります"(-""-)"


※紋次郎事件:1990年代に但馬系の種牛で肉質が最高であると評判になった紋次郎の精子が品薄になり、一本10万円とも20万円ともいわれる高値で取引され、盗難騒ぎまで起こるという社会現象を引き起こしました。



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